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目次
<売主が押さえておくべきポイント>
①売却相談
■まずは不動産会社に電話かメールで連絡をし、相談内容を事前に伝えておき、対応できる担当者がいるときに訪問しましょう。
予め、希望日時を予約するのがおすすめです。
訪問の際に持参すると良い書類
〇所有不動産の物件概要書(購入時のパンフレット・チラシ等)
〇登記事項証明書or固定資産納税通知書
〇間取り図および敷地測量図
〇建築確認通知書(一戸建てのみ)
〇管理規約・使用細則・長期修繕計画表(マンションのみ)
■顧客アンケートに記入をして相談内容について話します。
希望条件や、その優先順位をはっきりさせ、現時点で考えられる問題点があれば伝えてください。(例:売るには親族の同意が必要等)
アンケートについて、人によってはあまり積極的に書き込まないケースもありますが、営業担当としてはお客様の状況がわからないと良い提案は出しづらくなりますのでしっかり記入することをおすすめします。
記入された住所をもとに所有する不動産を登記情報で確認して、机上査定することもできますし、年収や勤務先、自己資金から資産規模も類推します。
家族構成も重要で、思春期の子供がいるなら売却物件案内時には子供部屋は見せることができないかもしれないなど、各項目を念頭に入れながら総合的に判断し、売却予定価格などを提案していく流れになります。
②媒介契約
売却を依頼するときに締結するものです。
媒介契約の主な目的は、不動産会社が依頼者に「売買契約に向けての努力」を約束することです。
売買契約が終わった後の所有権移転登記等の諸手続きは、あくまでも「助言等」のサポート業務になります。
また、媒介契約には、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3種類があります。
媒介契約の有効期間は最長3ヶ月以内としており、自動更新はありません。期間が切れたら、その都度結び直しをします。
依頼をした会社が探索してきた相手方以外の者と契約することを禁止する旨の特約を含む契約。依頼者が自分で発見してきた相手と取引することも禁止される。
複数社への依頼×、レインズへの登録義務〇、報告義務〇(1週間に1回以上)
依頼した会社以外に重ねて媒介の依頼をすることができない契約。依頼者が自分で発見してきた相手と取引することは可能。
複数社への依頼×、レインズへの登録義務〇、報告義務〇(2週間に1回以上)
複数の会社に重ねて媒介の依頼ができる契約。当該他会社を明示する義務があるものと、ないものに分かれる。
複数社への依頼〇、レインズへの登録義務×、報告義務×
レインズとは・・・
不動産流通標準システムの略称で、宅建免許を有した不動産会社だけが売り出し中の物件を閲覧できるホームページと解釈してもらうとわかりやすいです。
ここに依頼された物件情報を登録することで、依頼した不動産会社を窓口として、他の不動産会社からも買主の情報が寄せられる仕組みとなっています。
③価格査定
顧客アンケート等の情報をもとに価格相場や成約事例、売り出し事例を検討し、希望条件も加味しておおよその成約価格を算出します。それを机上査定と言います。
机上査定額を聞いて、もう少し詳しく見てもらいたい、ということであれば現地調査を伴う実査定となります。
実査定とは机上査定で出した価格をもとに、現地の状況も加味して検討する作業です。
実査定時には以下の書類が必要になります。
※物件ごとに異なるケースがあるので詳しくは不動産担当者まで確認
・登記決済権利証or登記識別情報通知書
・固定資産税納税通知書
・登記事項証明書or登記情報
・間取図or測量図証明書or登記情報
・建築確認通知書(建物がある場合)
・管理規約と長期修繕計画表(マンションの場合)
■実査定時には営業担当者に次の3点を伝えておくと良いです。
①見た時の印象に関すること 例:陽当たり、壁や床の汚れなど
②住んでみないとわからないこと 例:雨漏りや床のたわみ、騒音や臭い、買い物の便など
③他人の耳に入ると忌避されること 例:自殺や事故の有無など
言いづらいことでも先に営業担当者に伝えておいた方がかえっていい結果につながります。
特に③に関しては、隠したまま売却して後から発覚した場合、隠れた瑕疵として損害賠償責任等が生じますので、くれぐれも注意してください。
実査定が終わり、査定価格や売出価格に納得したら、正式な売却依頼をします。売却依頼は媒介の締結をもって行います。
④案内事前準備
続いて案内時までに事前準備を行います。
案内の目的は、物件に対して①よく理解してもらい、②良い印象を持ってもらう、ことですから以下の事前準備は欠かせません。
1)買主視点で物件の長所を説明できるようにする
例:リフォームを去年した、風通しがよいなど売主か知らない事を伝える
2)室内が見やすいように整理整頓をする
例:床に荷物を置かない、視界を妨げるものを置かないなど、できるだけ買主が見て確認できるようにする
3)明るく広くきれいに見せるようにする
例:カーテンを開ける、電気をつける、浴室の水垢は取っておくなどの掃除もしっかりやっておく
案内時は買主に対応し、質問に答えたり、説明をしましょう。案内は不動産会社任せにし、自分はテレビを見ていたり、他のことをしている売主がいますが、感じが悪く映り、物件そのものにも悪印象を与えかねません。
購入検討者が知りたい周辺環境や買い物の便などを積極的に説明するくらいの方が好印象を持たれ、いい成果につながるでしょう。
案内終了後は報告を待ちます。購入の申し込みがあれば、条件等を確認したりして、先へ進めていきます。
■価格交渉を受け入れるかどうか
売主にとって購入申込書を受け取ってから一番悩むのは価格交渉(値引き交渉)がある場合でしょう。他にもっと良い買主が現れるかもしれないと思うと、断りたくなるかもしれません。
そこで、不動産売買の定石とデータを見てみます。
〇売り出してすぐ現れた買い手の条件は最もいい⇒出たらすぐ買おうと思っている購入意欲の高い買主の可能性が高い
〇査定額との差額5%は誤差範囲⇒売主・買主の希望条件で左右される
〇販売して半年経過すると買い手が付きにくくなる⇒長い間売れ残っていると買主は「何かある」と思ってしまう
⑤売買契約
■意外にあるドタキャン
売買契約をするまではドタキャンの可能性があることを頭に入れて準備をします。焦って引越しの手配や家具の購入などはしない方がよいでしょう。 まれにですが、契約当日にキャンセルをする買主もいます。その場合、残念ですが売買契約前ですのでペナルティはありません。ここでは無理をせず、次のチャンスを待ちましょう。
■売買契約の流れ
重要事項説明書と売買契約書の読み合わせを行います。 重要事項説明書とは、不動産会社の宅地建物取引士(宅建士)が不動産を購入する人に不動産について勘違い等がないように説明するものです。 そして売買契約書は売主・買主が互いに約束を確認するものであり、宅建士はあくまでもサポートする立場になります。
内容を理解し納得したら、書類への署名押印となります。売買契約書の原本に所定の収入印紙を貼付し、売主・買主交互に書類へ署名押印をしていきます。 印鑑は実印を使いますが、買主は現金の場合のみ認印でも構いません。 その後、買主から売主への手付金の授受が行われます。
⑥残金決済・引き渡し
■残金決済
残金決済の当日はあらかじめ取り決めた日時に買主指定の場所(主に金融機関)へ行きます。
立ち会うのは売主、買主、不動産会社の営業担当、司法書士が一般的です。
全員揃ったらまずは所有権移転登記のほか、必要な場合は抵当権抹消、住所変更登記等の手続きに入ります。
各手続きに関しては、それぞれの案内に従いましょう。
■売買代金の着金確認
売主に売買代金等が振り込まれているか着金確認をしてもらいます。
■鍵の授受
ここでようやく主な手続きは終了となります。
仲介手数料や登記費用など諸費用を支払った後に鍵や書類等の授受等を行います。
譲渡所得税の案内が来たら・・・
売主が物件を売却して利益が出たときにかかる税金を譲渡所得税と言います。譲渡所得税の申告の案内は、申告を促す書類です。
なお、利益からは売買に伴った仲介手数料などの経費をひくこともできますし、さまざまな特別控除があります。
特別控除で代表的なのが「居住用財産の特別控除」で、いわゆる「3,000万円控除」というものです。
自らが居住用として利用した家なら利益から3,000万円まで引くことができる控除です。
よく、3,000万円で家を買って、3,000万円で売ったので利益はないと思われる方がいますが、建物には経年経過分を買ったときの金額から差し引く仕組みがあり、この場合は利益が出ますので注意が必要です。
控除や申告の仕方について、わからないことがあれば 税務署 で聞くこともできますので、内容を確認して手続きを行いましょう。
諸費用にはいくらかかるのか?
一般的には、売買価格総額の 5~7% ぐらいと言われています。
売主の場合
■売買契約時
①仲介手数料 成約価格×3%+6万円+消費税
②収入印紙 売買価格により税額が確定
■残代金決済時・所有権移転登記時
①抵当権抹消・住所変更登記費用 1本につき約1~2万円前後
②測量費用 30~60万円前後(エリアと隣接の土地数による)
③引越費用 引越し業者の見積もりによる
④その他 契約条件等により諸々発生する
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